都内勤務のA子さん(28歳)は、幼い頃から前歯の凹凸と八重歯がコンプレックスでした。社会人になり、経済的にも余裕ができたことから、長年の夢だった歯列矯正を決意。しかし、インターネットで「矯正は痛い」という情報を目にするたび、不安が募っていました。カウンセリングで歯科医師にその不安を伝えると、「確かに痛みはありますが、多くの方が乗り越えています。対処法もありますし、一緒に頑張りましょう」と励まされ、治療を開始することに。初めてブラケットを装着した日、A子さんは想像以上の違和感と締め付けられるような痛みに驚きました。「歯全体がぎゅーっと押されている感じで、何もしなくてもジンジン痛むんです。食事なんてとても…」とその時の心境を語ります。歯科医師の指示通り、痛み止めを服用し、お粥やゼリーなど柔らかいものを選んで食べましたが、最初の3日間は食欲もわかず、気分も沈みがちでした。特に辛かったのは、人と話すこと。口を動かすたびに装置が粘膜に擦れ、痛みが増すように感じたため、無口になってしまったと言います。しかし、4日目を過ぎたあたりから、徐々に痛みが和らいでいくのを実感。1週間後には、まだ多少の違和感は残るものの、普通の食事も少しずつ摂れるようになりました。「あの最初の1週間が嘘みたいです。もちろん、ワイヤー調整の後はまた数日間痛みますが、一度経験しているので『また来たか』という感じで、前向きに捉えられるようになりました」とA子さん。口内炎対策として矯正用ワックスを常に持ち歩き、こまめに塗布することで、粘膜の痛みもコントロールできるようになったそうです。治療開始から1年が経過し、A子さんの歯並びは目に見えて改善しました。「鏡を見るのが楽しくなりました。確かに痛みは辛かったですが、それ以上に歯並びが綺麗になっていく喜びの方が大きいです。あの時、勇気を出して治療を始めて本当に良かった」と笑顔で話してくれました。