マウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比較して痛みが少ないと言われることが多いですが、それでも歯を動かす治療である以上、ある程度の痛みや違和感は避けられません。また、治療中にはいくつかのトラブルが発生する可能性もあります。事前にこれらを理解し、対処法を知っておくことで、安心して治療を進めることができます。まず、痛みについてですが、主に新しいアライナー(マウスピース)に交換した直後の数日間に、歯が浮くような、締め付けられるような、あるいは鈍い痛みを感じることがあります。これは、新しいアライナーが現在の歯並びよりも少しずれた形に作られており、歯に持続的な力をかけて移動させようとするために生じる正常な反応です。通常、この痛みは2~3日程度で徐々に和らぎ、1週間もすればほとんど気にならなくなります。痛みが強い場合は、我慢せずに歯科医師に相談し、痛み止めを処方してもらうことも可能です。また、アライナーの縁が歯ぐきや舌に当たって、チクチクとした刺激を感じたり、口内炎ができたりすることもあります。この場合は、歯科医院でアライナーの縁を調整してもらうことで改善されることが多いです。次に、起こり得るトラブルとその対処法です。「アライナーの紛失・破損」は比較的よくあるトラブルです。食事の際に外したアライナーをティッシュに包んで捨ててしまったり、誤って踏んで割ってしまったりするケースです。紛失・破損した場合は、すぐに担当の歯科医師に連絡し、指示を仰ぎましょう。自己判断で一つ前のアライナーを装着したり、次のアライナーに進んだりするのは避けるべきです。「アタッチメントの脱離」も考えられます。アタッチメントは、歯を効率的に動かすために歯の表面に装着する小さな突起ですが、これが取れてしまうと歯の動きが悪くなる可能性があります。これも速やかに歯科医院に連絡し、再装着してもらう必要があります。「アライナーが浮いてしまう・適合しない」という場合は、装着時間が不足していたり、歯の動きが計画通りに進んでいなかったりする可能性があります。無理に装着しようとせず、歯科医師に相談しましょう。チューイーを噛むことで改善されることもあります。これらのトラブルは、早期発見・早期対処が重要です。何か異常を感じたら、自己判断せずに、まずは担当の歯科医師に相談することを心がけましょう。
マウスピース矯正中の痛みとトラブル対処法