「マウスピース矯正を始めたら、ほうれい線が目立つようになった気がする…」そんな不安の声を耳にすることがあります。透明で目立たないマウスピース型矯正装置(インビザラインなど)は、その審美性の高さから人気がありますが、ほうれい線との関連については、いくつかの誤解や憶測も含まれているようです。まず、マウスピース矯正自体が直接的にほうれい線を「作る」あるいは「深くする」という医学的な根拠は、現時点では明確には示されていません。ほうれい線は、主に加齢による皮膚のたるみ、コラーゲンやエラスチンの減少、顔の筋肉の衰え、乾燥、紫外線ダメージなどが複合的に絡み合って現れるものです。しかし、矯正治療の過程で、間接的にほうれい線が目立ちやすくなる可能性が全くないわけではありません。例えば、抜歯を伴う矯正治療で口元が大きく後退した場合、それに伴って頬の皮膚がわずかにたるみ、ほうれい線が以前より深く見えると感じることがあるかもしれません。また、マウスピースを装着していることで、無意識のうちに口周りの筋肉の使い方が変わり、表情が乏しくなったり、特定の筋肉が緊張したりすることで、一時的にほうれい線が目立つように感じる方もいるようです。さらに、矯正治療中は、アライナーの着脱や食事の際の口の開け閉めなど、口元への意識が集中しやすくなるため、それまであまり気にしていなかったほうれい線が、急にクローズアップされて見えるようになるという心理的な側面も考えられます。重要なのは、これらの変化が必ずしも全ての人に起こるわけではなく、また、多くの場合、治療の進行や完了とともに気にならなくなるケースが多いということです。もし、マウスピース矯正中にほうれい線が気になる場合は、自己判断せずに、まずは担当の歯科医師に相談してみましょう。原因が矯正治療と関連しているのか、あるいは他の要因なのかを判断し、適切なアドバイスを受けることが大切です。
マウスピース矯正でほうれい線が?噂の真相