歯列矯正の費用を医療費控除として確定申告する際には、事前の準備が非常に重要です。スムーズに手続きを進め、確実に控除を受けるために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。まず最も大切なのは、歯列矯正が「治療目的」であることを証明するための書類です。これには、担当の歯科医師に作成してもらう診断書が有効です。診断書には、現在の歯並びや噛み合わせの問題点、それによってどのような機能的な支障が生じているか、そして矯正治療が医学的に必要である旨が記載されていることが望ましいでしょう。次に、治療にかかった費用の領収書を全て大切に保管することです。矯正装置の費用、毎回の調整料、検査料など、治療に関する全ての領収書が必要となります。クレジットカードで支払った場合は、カード会社の利用明細も併せて保管しておくと良いでしょう。また、意外と見落としがちなのが、通院にかかった交通費です。電車やバスなどの公共交通機関を利用した場合は、日付、利用区間、運賃を記録したメモを作成しておきます。領収書が発行されない場合でも、この記録が証明となります。ただし、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は医療費控除の対象外となる点に注意が必要です。これらの書類や記録は、確定申告の時期まで紛失しないように、専用のファイルなどにまとめて整理しておくと便利です。医療費控除の申請は、毎年2月16日から3月15日までの確定申告期間に行います。国税庁のウェブサイトで提供されている「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の指示に従って入力するだけで申告書を作成でき、e-Taxを利用すれば電子申告も可能です。余裕をもって準備を始め、不明な点があれば税務署や税理士に早めに相談するようにしましょう。適切な準備を行うことで、歯列矯正の経済的負担を軽減できる可能性があります。