マウスピース矯正による出っ歯改善の一例

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Aさん(28歳女性)は、長年、上顎の前歯が前方に突出している、いわゆる出っ歯に悩んでいました。特に横から見たときの口元の突出感が気になり、人と話す際にも無意識に口元を隠すような仕草をしてしまうことがあったといいます。矯正治療には興味がありましたが、仕事柄、目立つワイヤー装置には抵抗があり、なかなか治療に踏み切れずにいました。そんな中、マウスピース型矯正装置による治療法を知り、当院のカウンセリングに来院されました。精密検査の結果、Aさんの出っ歯は歯の傾斜が主な原因であり、骨格的な問題は軽微であったため、マウスピース矯正による改善が可能と診断されました。治療計画として、抜歯は行わず、歯列全体をわずかに後方へ移動させるとともに、前歯の傾斜を改善することで口元の突出感を軽減することを目標としました。Aさんには、1日に20時間以上のマウスピース装着と、約2週間ごとの新しいマウスピースへの交換をお願いしました。治療開始当初は、マウスピースの装着感に慣れるまで多少の違和感があったものの、数日で問題なく過ごせるようになったとのことです。食事や歯磨きの際には取り外せるため、日常生活への支障も少なかったと話されています。治療期間は約1年8ヶ月。定期的な通院で治療の進捗を確認し、必要に応じて微調整を行いながら治療を進めました。治療終了後、Aさんの前歯の突出感は大幅に改善され、気にされていた横顔のラインもすっきりとした印象になりました。何よりも、Aさん自身が「口元を気にせず自然に笑えるようになったことが嬉しい」と、大変満足されたご様子でした。この症例のように、マウスピース矯正は、適切な診断と治療計画のもと、患者様の協力が得られれば、出っ歯の改善に有効な治療法の一つとなり得ます。ただし、全ての症例に適応できるわけではないため、まずは専門医にご相談いただくことが重要です。