矯正専門医が語る顔の歪みと歯列矯正

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本日は、長年、歯列矯正治療に携わってこられたC矯正歯科クリニックの院長、D先生にお話を伺います。先生、顔の歪みを気にされて歯列矯正の相談に来られる患者さんは多いのでしょうか。はい、近年特に増えている印象です。スマートフォンで自撮りをする機会が増えたことなども影響しているのかもしれませんが、ご自身の顔の左右差や口元のバランスに敏感な方が多くいらっしゃいます。顔の歪みと歯並びには、どのような関連があるのでしょうか。顔の歪みの原因は多岐にわたりますが、歯並びや噛み合わせの不正がその一因となっているケースは少なくありません。例えば、左右どちらかの奥歯でしか噛めないような状態が続くと、使っている側の筋肉が発達し、使わない側が萎縮して、顔の非対称が生じることがあります。また、下顎が左右にずれて噛み込んでいる交叉咬合や、顎の骨格自体に前後左右のズレがある顎変形症などは、明確に顔の歪みとして現れます。歯列矯正治療によって、これらの歯並びや噛み合わせの問題を改善することで、結果的に顔の歪みが軽減されることは期待できます。歯を正しい位置に誘導し、適切な噛み合わせを確立することで、顎の位置が安定し、顔の筋肉のバランスも整いやすくなるからです。ただし、歯列矯正だけで全ての顔の歪みが治るわけではありません。骨格的なズレが大きい場合は、歯列矯正と顎の骨を切る外科手術を併用する外科的矯正治療が必要になることもありますし、筋肉のアンバランスが主な原因であれば、筋機能療法という筋肉のトレーニングが有効な場合もあります。大切なのは、まず精密検査を通じて顔の歪みの原因を正確に診断することです。その上で、歯列矯正がどの程度効果的なのか、他の治療法との組み合わせが必要なのかなどを総合的に判断し、患者さん一人ひとりに合った治療計画を立案していきます。顔の歪みでお悩みの方は、自己判断せずに、まずは矯正歯科の専門医にご相談いただくのが良いでしょう。