マウスピース矯正中にほうれい線が気になり、セルフケアを試してみてもなかなか改善しない、あるいは不安が解消されない場合、一人で抱え込まずに専門家に相談することが大切です。では、具体的にどこに相談すれば良いのでしょうか。まず、第一の相談先は、現在治療を受けている「担当の矯正歯科医」です。矯正治療の過程で起こり得る顔貌の変化について最もよく理解しているのは、あなたの治療計画を立て、経過を診ている担当医です。ほうれい線が気になる旨を正直に伝え、それが矯正治療と関連している可能性があるのか、あるいは他の要因が考えられるのか、専門的な見解を聞きましょう。歯科医師は、歯の移動状況や口元の変化を客観的に評価し、必要であれば治療計画の微調整を検討したり、今後の見通しについて説明してくれたりするはずです。また、表情筋のトレーニング方法や、日常生活での注意点など、具体的なアドバイスをもらえることもあります。もし、担当の矯正歯科医に相談しても不安が解消されない場合や、より専門的な美容の観点からのアドバイスが欲しい場合は、「美容皮膚科医」や「美容外科医」に相談することも選択肢の一つです。これらの専門医は、ほうれい線の原因を多角的に診断し、ヒアルロン酸注入やボツリヌス治療、糸リフト、HIFU(ハイフ)など、様々な美容医療の選択肢の中から、あなたの状態や希望に合った治療法を提案してくれます。ただし、美容医療を受ける際には、必ず現在マウスピース矯正治療中であることを伝え、矯正歯科医とも情報を共有し、連携を取りながら進めることが重要です。矯正治療に影響を与えないか、どのタイミングで行うのが最適かなどを、両方の専門家とよく話し合う必要があります。また、カウンセリングを重視しているクリニックを選び、メリットだけでなく、デメリットやリスクについても十分に説明を受け、納得した上で治療を受けるようにしましょう。まれに、ほうれい線の原因が、噛み合わせの不調和による顎関節への負担や、それに伴う筋肉の緊張など、より複雑な要因が絡んでいることもあります。そのような場合は、矯正歯科医から「口腔外科」や「顎関節症の専門医」を紹介されることもあるかもしれません。大切なのは、自己判断で悩みを深めるのではなく、信頼できる専門家に早めに相談し、適切なアドバイスとサポートを受けることです。