歯列矯正の費用が医療費控除の対象となる場合、その申請をスムーズに行うためにはいくつかのコツがあります。まず最も重要なのは、歯列矯正が「治療目的」であることを証明することです。そのためには、歯科医師に診断書を作成してもらうのが確実です。診断書には、現在の歯並びや噛み合わせの問題点、それによって生じている具体的な症状(咀嚼障害、発音障害、顎関節症など)、そして矯正治療の必要性が明記されていることが望ましいでしょう。この診断書は、税務署から提出を求められた際に必要となる大切な書類です。次に、治療にかかった費用の領収書を全て保管しておくことです。これには、矯正装置の費用、毎月の調整料、検査料などが含まれます。クレジットカードで支払った場合は、カード会社の利用明細も保管しておきましょう。また、通院にかかった交通費も医療費控除の対象となります。電車やバスなどの公共交通機関を利用した場合は、日付、利用区間、運賃を記録したメモを作成しておきます。タクシー代は、一般的には緊急性がない限り認められにくいですが、状況によっては対象となる場合もあるため、領収書は保管しておきましょう。自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は対象外となる点に注意が必要です。医療費控除の申請は、確定申告の際に行います。国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って入力するだけで比較的簡単に申告書を作成できます。e-Taxを利用すれば、自宅から電子申告が可能です。申請の際には、年間の医療費の合計額、保険金などで補填された金額を正確に把握しておく必要があります。家族の医療費も合算して申告できるため、家族の中に歯列矯正をした人がいる場合は、まとめて申請すると控除額が大きくなる可能性があります。申告期限は毎年3月15日ですので、余裕をもって準備を始めることが大切です。これらのコツを押さえて、賢く医療費控除を活用しましょう。