私が歯列矯正を始めたのは、高校1年生の夏休みでした。昔から前歯のガタガタが気になっていて、笑う時にいつも無意識に口元を手で隠してしまう癖がありました。中学の頃から親に「矯正したい」と相談していましたが、部活が忙しかったり、金銭的なこともあったりで、なかなか踏み出せずにいました。でも、高校生になり、少し大人になった気分と、新しい環境で自分を変えたいという気持ちが強くなり、改めて親に相談。ついに矯正歯科の門を叩くことになりました。初めてブラケットとワイヤーを装着した日は、口の中の違和感と、じんわりとした痛みに正直戸惑いました。食事も上手くできず、大好きだったお菓子も食べにくい。喋りにくいし、見た目も気になるしで、最初の数週間は本当に憂鬱でした。友達に「どうしたの?」と聞かれるたびに説明するのも少し面倒だったし、体育の授業でボールが顔に当たらないかヒヤヒヤしたりもしました。でも、そんな私を支えてくれたのは、同じように矯正をしているクラスメイトの存在や、歯科衛生士さんの優しい励ましでした。「みんな通る道だよ」「綺麗になるためだもんね」そんな言葉に勇気づけられました。月に一度の調整日は、ワイヤーを締め直すので数日間は痛みがぶり返しましたが、それも徐々に慣れていきました。歯磨きは本当に大変で、専用の歯ブラシや歯間ブラシを駆使して、毎食後丁寧に磨く習慣がつきました。大変だったけど、鏡を見るたびに少しずつ歯が動いて綺麗に並んでいくのを見ると、痛さも面倒くささも吹き飛ぶような嬉しさがありました。そして約2年半後、ついに矯正装置が外れた日の感動は今でも忘れられません。鏡に映った自分の笑顔は、以前とは比べ物にならないくらい輝いて見えました。長年のコンプレックスから解放され、心から笑えるようになったことで、性格も少し明るくなった気がします。高校時代の貴重な時間を矯正治療に費やしたことは、私にとって最高の自己投資だったと、今でも胸を張って言えます。