矯正歯科医が語る高校生の歯列矯正

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本日は、多くの若い患者さんの歯列矯正治療を手がけてこられたK矯正歯科クリニックのL先生にお話を伺います。先生、高校生の時期に歯列矯正を始めることについて、専門家の立場からどのようにお考えですか。高校生の時期は、歯列矯正を始めるのに非常に良いタイミングの一つだと考えています。理由としては、まず、多くの場合、顎の成長がある程度残存している点が挙げられます。これを利用することで、特に骨格的な不調和を伴う不正咬合、例えば受け口や出っ歯などの治療において、歯の移動だけでなく顎の成長を適切な方向へ誘導し、より良好な治療結果を得やすくなります。これを「成長期矯正」と呼んでいます。また、高校生は一般的に細胞の代謝が活発であるため、歯の移動がスムーズに進みやすく、成人矯正に比べて治療期間が短縮できる傾向にあります。骨の反応も良いため、治療後の安定性も期待できます。さらに、精神的な側面も重要です。高校生は思春期であり、外見に対する意識も高まります。歯並びのコンプレックスをこの時期に解消することで、自信を持って学校生活を送れるようになり、その後の人格形成にも良い影響を与える可能性があります。もちろん、学業や部活動、友人関係など、多忙な時期でもありますので、治療計画を立てる際には、そうしたライフスタイルへの配慮も不可欠です。例えば、目立ちにくい矯正装置の選択や、通院頻度の調整なども検討します。保護者の方への説明も重要で、治療の必要性、期間、費用、そして何よりもご本人の協力が不可欠であることをご理解いただくように努めています。最近では、親御さん自身が矯正経験者で、お子さんにも早めに治療を受けさせたいと希望されるケースも増えていますね。いずれにしても、個々の患者さんの口腔内の状態、成長の段階、そしてライフスタイルを総合的に考慮し、最適な治療開始時期と治療法を提案することが私たちの役割だと考えています。