本日は、美容皮膚科とアンチエイジング治療を専門とされるIクリニックのJ先生に、口ゴボとほうれい線の関係についてお話を伺います。先生、口元の突出、いわゆる「口ゴボ」がほうれい線に影響するという話を聞きますが、実際にはどのようにお考えでしょうか。はい、口ゴボの状態がほうれい線を目立たせる要因の一つになることは十分に考えられます。まず、解剖学的な観点から見ると、口元が前方に突出していると、鼻翼から口角にかけてのライン、つまりほうれい線の部分に影ができやすく、また皮膚のテンションのかかり方も通常とは異なるため、ほうれい線が深く見えやすい傾向があります。また、口ゴボの方は、口を閉じる際に無意識のうちに口周りの筋肉、特に頤(おとがい)筋に力を入れていることが多いです。この慢性的な筋肉の緊張は、皮膚を内側に引き込み、ほうれい線の溝を深くする原因となり得ます。例えるなら、常に眉間に力を入れていると眉間のシワが深くなるのと同じようなメカニズムです。ほうれい線の治療として、ヒアルロン酸注入や糸リフトなどがありますが、口ゴボが原因でほうれい線が目立っている場合、これらの対症療法だけでは根本的な解決にならないこともあります。もちろん、これらの治療で一時的にほうれい線が浅く見えるようにはなりますが、口元の突出という根本的な構造が変わらない限り、再発しやすい、あるいは効果が限定的である可能性があるのです。そのため、もし患者さんが口ゴボとほうれい線の両方にお悩みで、かつ口ゴボの状態が重度である場合には、美容皮膚科的なアプローチと並行して、あるいはその前に、矯正歯科や口腔外科での口ゴボ治療を検討することをお勧めする場合もあります。歯列矯正や外科的矯正治療によって口元の突出が改善されれば、口周りの筋肉の緊張が緩和され、ほうれい線も自然と浅くなることが期待できるからです。もちろん、ほうれい線の原因は一つではありませんので、個々の状態を正確に診断し、最適な治療法を組み合わせることが重要です。