しゃくれ(下顎前突・反対咬合)の歯列矯正にかかる費用と期間は、治療法や症状の程度、そして歯科医院によって大きく異なります。ここでは、代表的な治療法ごとのおおよその目安について解説します。まず、成長期のお子様に行われる「Ⅰ期治療(早期治療)」で、チンキャップや上顎前方牽引装置などを用いる場合、費用相場は30万円から60万円程度、治療期間は1年から2年程度が一般的です。この治療は、主に顎の成長をコントロールすることを目的としています。次に、永久歯が生え揃ってから行う「Ⅱ期治療(本格治療)」や、成人の方の歯列矯正で、ワイヤー矯正やマウスピース矯正(インビザラインなど)を用いる場合です。これは、歯の位置を動かして噛み合わせを改善する治療で、しゃくれの原因が主に歯性である場合に適応されます。費用相場は、使用する装置や治療の難易度によって異なりますが、おおよそ80万円から150万円程度が目安となるでしょう。治療期間は、歯を動かす量や抜歯の有無などによって変わりますが、2年から3年程度、場合によってはそれ以上かかることもあります。そして、しゃくれの原因が骨格的な問題であり、「外科的矯正治療(顎変形症治療)」が必要となる場合、費用と期間はさらに大きく変わってきます。外科的矯正治療は、手術前の矯正治療、顎の骨を切る手術、手術後の矯正治療というステップで進められます。顎の手術は、特定の条件を満たせば健康保険が適用される場合がありますが、それに付随する矯正治療は基本的に自由診療となることが多いです(ただし、顎変形症の診断がつけば、矯正治療も保険適用となる場合があります。詳細は医療機関にご確認ください)。保険適用の場合と自由診療の場合で費用は大きく異なりますが、総額としては200万円から400万円程度かかることもあります。治療期間も、手術前の矯正に1年から1年半、手術と入院、そして手術後の矯正に1年から2年程度と、トータルで数年に及ぶ長期的な治療となります。これらの費用や期間はあくまで目安であり、個々の状態によって大きく変動します。正確な情報については、複数の矯正歯科医院や口腔外科でカウンセリングを受け、精密な検査と診断に基づいた詳細な治療計画と見積もりを出してもらい、十分に比較検討することが大切です。
しゃくれの歯列矯正費用と期間の目安