良い審美歯科は、続けにくい。悪い審美歯科は、止めにくい。

2025年12月
  • その変化は気のせい?歯列矯正と顔貌の客観的事実

    知識

    「歯列矯正をしたら、顔が長くなった気がして…」。カウンセリングや治療後の相談で、患者さんからこのような悩みを打ち明けられることは少なくありません。ご本人にとっては、鏡を見るたびに気になる、非常に深刻な問題です。しかし、ここで一つ、冷静になって考えてみたいことがあります。その「面長になった」という感覚は、一体どの程度の変化なのでしょうか。そして、それはあなた以外の他の人にも、同じように認識されているのでしょうか。私たち矯正歯科医が、セファログラム(頭部X線規格写真)という骨格のレントゲンを使って治療前後の顔貌変化を分析すると、その変化量は、多くの場合、わずか1〜3ミリ程度であることがほとんどです。もちろん、この数ミリの変化が、顔の印象に大きな影響を与えることは事実です。特に、顔の中心部である口元の変化は、自分自身では非常に敏感に感じ取ることができます。しかし、重要なのは、この数ミリの変化を、あなたと毎日顔を合わせているわけではない友人や同僚が、果たして正確に認識できるか、ということです。答えは、ほとんどの場合「No」です。他人は、あなたの顔のミリ単位の変化には、まず気づきません。彼らが気づくのは、もっと大きな変化、つまり「歯並びが劇的に綺麗になった」というポジティブな事実です。そして、その美しい歯並びがもたらす清潔感や、自信に満ちた笑顔といった、全体の雰囲気の変化に好印象を抱くのです。もし、誰かに「痩せた?」「疲れてる?」と言われたとしても、それは顔の長さの変化を指摘しているのではなく、矯正治療による一時的な頬のこけや、単なる体調の変化を気遣っているだけかもしれません。私たちは、自分の顔に対して、誰よりも厳しい目を持っています。コンプレックスがあればあるほど、その部分を拡大鏡で見ているかのように、過剰に意識してしまうものです。もしあなたが矯正後の顔の変化に悩んでいるのなら、一度、客観的な視点に立ってみてください。その変化は、あなたが思うほど、深刻な「失敗」ではないかもしれません。むしろ、理想の歯並びを手に入れた過程で生じた、許容範囲内の小さな変化である可能性が高いのです。