ついに私の矯正ライフにも「ゴムかけ」という新ステージがやってきた。先生から小さな袋に入ったカラフルなゴムと、それを引っ掛けるための小さなプラスチックの道具を渡された時、「おお、これが噂の!」と少しだけテンションが上がった。けれど、実際に鏡の前で、口の中の小さなフックに細いゴムをかけようとした瞬間、そのテンションはどこかへ消え去り、代わりに小さなため息が出た。指先が思うように動かず、ゴムはあらぬ方向へピーンと飛んでいく。何度か繰り返すうちに、ようやく指定されたフックにかけることができたけど、すでに朝の準備時間は大幅にオーバーしていた。ゴムをかけた瞬間から、じわじわと歯全体が締め付けられるような感覚。食事のたびに外して、歯磨きして、また付ける、という一連の作業も、慣れるまでは本当に面倒くさかった。特に外食の時は、お店のトイレでこっそりゴムを外したり付けたり。なんだか自分が秘密工作員にでもなったような気分だった。最初の頃は、痛くて喋るのも億劫になったり、滑舌が悪くなったりして、友達との会話も少しぎこちなくなってしまった気がする。でも、人間って不思議なもので、数週間もすると、あの面倒だったゴムかけ作業もだんだんスムーズにできるようになってくる。痛みも最初の頃に比べればだいぶマシになり、むしろゴムをかけていないと口の中が何だか落ち着かないような、そんな感覚さえ芽生えてきた。最近のマイブームは、ゴムの色を選ぶこと。先生がくれるゴムは数種類の色があるので、その日の気分で「今日はピンクにしようかな」「明日はブルーで爽やかに」なんて、ささやかなおしゃれを楽しんでいる。矯正装置自体は金属色で無骨な印象だけど、この小さなカラーゴムが、ちょっとしたアクセントになってくれている気がする。まだまだゴムかけ生活は続くけれど、鏡を見るたびに少しずつ歯並びが整っていくのを見ると、この地道な努力も無駄じゃないんだなと実感できる。ゴールはもう少し先だけど、この小さな相棒(ゴム)と一緒に、理想の笑顔を目指して頑張ろうと思う。
ゴムかけと私の矯正ライフ