「歯列矯正は痛い」と聞いてはいたけれど、実際に体験してみると、それは想像以上のものでした。私が特に辛かったのは、初めてブラケットとワイヤーを装着した日からの約1週間。歯全体がギリギリと締め付けられるような鈍い痛みと、何かが歯に触れるだけでズキンと響く鋭い痛みが交互にやってきて、食事はもちろん、話すことさえ億劫になりました。柔らかいお粥やうどんばかりを食べていましたが、それでも噛むという行為自体が苦痛で、体重が少し減ってしまったほどです。夜も、歯の痛みでなかなか寝付けず、何度も目が覚めてしまいました。歯科医院でもらった痛み止めを飲んでなんとかしのいでいましたが、薬が切れるとまた痛みがぶり返してくるので、本当に気が滅入りました。「こんな痛みがずっと続くなら、矯正なんてするんじゃなかった」と弱音を吐きたくなることも一度や二度ではありませんでした。そんな時、心の支えになったのは、同じように矯正治療を経験した友人からのアドバイスや、SNSで見かける矯正仲間たちの「痛いけど頑張ろう!」という励ましの言葉でした。そして、1週間が過ぎる頃、あれほど辛かった痛みが嘘のようにスーッと引いていくのを感じました。もちろん、その後もワイヤー調整のたびに数日間は同様の痛みがありましたが、最初の頃ほどの強烈なものではなく、また「この痛みも数日すれば治まる」という経験則があったため、精神的にはだいぶ楽に乗り越えることができました。ブラケットが頬の内側に当たってできる口内炎にも悩まされましたが、矯正用ワックスをこまめに使うことで、なんとかやり過ごしました。今、矯正治療も終盤に差し掛かり、鏡を見るたびに綺麗に並んだ自分の歯を見ると、あの痛かった日々も決して無駄ではなかったんだなと、しみじみ感じています。