鏡を見るたびにため息が出る。それは、もっこりとした口元、いわゆる「口ゴボ」と、年齢以上に深く刻まれたように見えるほうれい線のせいだった。若い頃はそれほど気にならなかったけれど、30代を過ぎてから、その二つの悩みは私の自信をじわじわと奪っていった。特に横顔は最悪で、Eラインなんて言葉は私には無縁の世界。そして、口ゴボのせいなのか、口を閉じようとすると顎に梅干しみたいなシワができて、それがまたほうれい線を強調しているような気もした。なんとかしたくて、高級なエイジングケア化粧品を使ってみたり、美顔ローラーでコロコロしてみたり、色々なことを試した。でも、効果はほんの一瞬。すぐに元に戻ってしまう。そんな時、ネットで「口ゴボ ほうれい線 関係」と検索してみた。すると、出るわ出るわ、同じような悩みを持つ人たちの声と、専門家の解説記事。どうやら、口ゴボがほうれい線を目立たせる原因の一つになっているらしい。口元の突出が頬のたるみを引き起こしたり、口を閉じる時の筋肉の緊張がシワを深くしたりするのだという。これだ!と思った私は、すぐに美容クリニックのカウンセリングを予約した。ヒアルロン酸注入でほうれい線を浅くできると聞いたからだ。でも、カウンセリングで先生に言われたのは、「確かにヒアルロン酸でほうれい線は目立たなくなりますが、あなたの場合は口元の突出も気になりますね。根本的な改善を目指すなら、歯列矯正も考えてみてはどうですか?」という言葉だった。正直、歯列矯正なんて考えたこともなかった。でも、先生の話を聞いているうちに、口ゴボを治せば、ほうれい線も自然と改善されるかもしれないし、何より長年のコンプレックスだった口元が綺麗になるなら、それもいいかもしれないと思い始めた。費用も時間もかかるけど、これは自分への投資だ。そう決意して、今は矯正歯科にも通い始めている。美容クリニックでのヒアルロン酸も魅力的だけど、まずは土台から整えてみようと思う。いつか、自信を持って笑える日が来ることを信じて。