「院内分割は審査が通りやすい」という話を聞いたことがあるかもしれません。高額な治療費の支払いだからこそ、審査に通るかどうかは大きな関心事です。では、実際のところ、院内分割の審査はどのようになっているのでしょうか。その実態と、金融機関が提供するデンタルローンとの違いについて詳しく見ていきましょう。まず、結論から言うと、院内分割に金融機関のような厳格な「審査」は存在しないケースがほとんどです。デンタルローンの審査では、申込者の信用情報を、CICやJICCといった信用情報機関に必ず照会します。これにより、過去のクレジットカードやローンの支払いにおける延滞履歴、現在の借入状況などが全てチェックされ、返済能力が厳しく判断されます。一方、院内分割はクリニックと患者さんの直接契約であるため、信用情報機関への照会は通常行われません。クリニックが独自に設けた基準に基づいて、支払い能力の有無を判断します。では、全くの無審査かというと、そういうわけではありません。多くの場合、申込書に職業、勤務先、勤続年数、年収といった情報を記入する形式で、支払い能力の確認が行われます。これは、クリニック側も治療費が回収できないリスクを避けるためです。しかし、その判断基準はデンタルローンに比べて格段に柔軟です。例えば、過去に支払いの遅延があったり、転職して間もなかったりして、デンタルローンの審査には通りにくい状況の方でも、現在の収入が安定しており、真摯に治療を受けたいという意思が伝われば、クリニックの裁量で分割払いを認めてもらえる可能性は十分にあります。つまり、院内分割の「審査」とは、過去の信用情報よりも、これからの「信頼関係」を重視するものだと言えるでしょう。ただし、審査が緩やかだからといって、支払い義務が軽くなるわけではありません。分割払いは、クリニックの善意と信頼のもとに成り立っている制度です。計画通りに支払いを続けるという責任感を持ち、誠実に対応することが、患者としての大切なマナーとなります。