良い審美歯科は、続けにくい。悪い審美歯科は、止めにくい。

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  • 装置オフは新たな始まり!後戻りを防ぐ保定ステップへ

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    数年間にわたる歯列矯正治療を経て、ついに訪れる「ブラケットオフ」、装置を外す日。それは、長いトンネルを抜けたような、感動的な瞬間です。専用の器具でブラケットが外され、歯の表面に残った接着剤が綺麗にクリーニングされると、そこには驚くほどツルツルで、美しく整った自分の歯並びがあります。鏡に映る新しい笑顔に、これまでの苦労が報われる思いがするでしょう。しかし、この感動的な一日で、歯列矯正の全てが終わったわけではありません。むしろ、ここからがその美しい歯並びを生涯維持するための、新しいステップの始まりなのです。それが「保定(ほてい)」です。矯正装置によって動かされた直後の歯は、まだその新しい位置に完全に定着しておらず、元の位置に戻ろうとする「後戻り」という性質を持っています。歯の周りの骨や歯周組織が、新しい環境に馴染んで安定するまでには、一定の時間が必要です。この後戻りを防ぎ、歯並びを固定させるために使用するのが「保定装置(リテーナー)」です。リテーナーには、自分で取り外しができるマウスピースタイプや、歯の裏側に細いワイヤーを直接接着する固定式のタイプなど、いくつかの種類があります。歯科医師は、あなたの治療内容やライフスタイルに合わせて、最適なリテーナーを選択します。保定期間の目安は、一般的に「矯正治療にかかった期間と同じか、それ以上」と言われており、特に治療終了後の最初の1年間は、食事や歯磨きの時以外は一日中装着することが推奨されます。このリテーナーの装着をサボってしまうと、せっかく長い時間と費用をかけて手に入れた美しい歯並びが、数ヶ月で崩れてしまうことも珍しくありません。ブラケットオフは、矯正治療という山登りの登頂成功の記念日です。しかし、本当のゴールは、その美しい景色を生涯眺め続けること。リテーナー生活は、そのための下山のステップであり、未来の自分への最も大切な投資なのです。