-
歯列矯正の確定申告対象外になる場合
歯列矯正の費用が医療費控除の対象となり、税金が還付される可能性があると聞くと、期待が膨らむことでしょう。しかし、残念ながら全ての歯列矯正が医療費控除の対象となるわけではありません。どのような場合に医療費控除の対象外となってしまうのか、具体的なケースを理解しておくことが大切です。まず、最も基本的な判断基準は、矯正治療の目的です。医療費控除の対象となるのは、あくまで「治療」を目的とした歯列矯正です。これに対し、現在の噛み合わせや口腔機能には特に問題がなく、純粋に見た目をより美しくしたい、もっと白く輝く歯にしたいといった「美容目的」の歯列矯正は、医療費控除の対象外となります。この判断は、自己判断ではなく、歯科医師の診断に基づいて行われますが、最終的な判断は税務署が行う点も忘れてはなりません。次に、医療費控除の対象となる費用の範囲にも注意が必要です。例えば、歯列矯正と同時にホワイトニングを行った場合、ホワイトニングにかかる費用は美容目的と見なされ、医療費控除の対象外となるのが一般的です。また、審美性を高めるために、機能的には同等な金属ブラケットではなく、高価なセラミックブラケットや舌側矯正を選択した場合、その差額分が治療に直接必要ないと判断されれば、対象外とされる可能性も考えられます。ただし、この点は歯科医師の診断や税務署の判断によります。通院にかかる交通費も医療費控除の対象となりますが、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は対象外です。公共交通機関の利用分のみが対象となります。デンタルローンを利用して歯列矯正費用を支払った場合、元金部分は医療費控除の対象となりますが、ローン会社に支払う金利や手数料は対象外です。また、医療保険などから保険金が給付された場合は、その給付された金額を支払った医療費から差し引いて控除額を計算する必要があります。ご自身の歯列矯正が医療費控除の対象になるか不安な場合は、事前に歯科医師や税務署、税理士に確認することをお勧めします。