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ほうれい線が目立つ?マウスピース矯正中の顔の変化
マウスピース矯正中に、「なんだかほうれい線が目立つようになった気がする…」と感じる方がいます。これは、実際にほうれい線が深くなったというよりも、矯正治療に伴う顔の微妙な変化や、ご自身の意識の変化が影響している可能性があります。具体的にどのような顔の変化が起こり得るのでしょうか。まず、最も大きな変化は「口元の印象」です。特に、前歯の歯並びが大きく変わる場合、例えば出っ歯が改善されたり、受け口が治ったりすると、口元の突出感やバランスが変化します。抜歯を伴う矯正で前歯を後方に大きく移動させた場合、口元がすっきりと引っ込み、Eライン(鼻先と顎先を結んだライン)が整うことが期待できます。しかし、この口元の後退が、人によっては頬のボリュームが減ったように感じさせ、相対的にほうれい線が目立つように見えることがあります。また、マウスピースを装着している間は、常に口腔内に異物がある状態です。無意識のうちに口を閉じようとして口周りの筋肉に力が入ったり、逆にアライナーに慣れるまで表情が硬くなったりすることがあります。このような筋肉の使い方の変化が、一時的にほうれい線の見え方に影響を与える可能性も考えられます。さらに、矯正治療中は、自分の歯並びや口元、顔貌の変化に非常に敏感になります。毎日鏡を見てチェックする中で、それまであまり気にしていなかったほうれい線が、ふと目につき、「矯正を始めてから目立つようになったのでは?」と感じてしまうことも少なくありません。これは、いわゆる「注目バイアス」のようなもので、意識が向くことで、より顕著に感じられるようになるのです。また、治療期間中のストレスや睡眠不足、あるいは体重の減少なども、肌のハリや弾力に影響を与え、間接的にほうれい線が目立ちやすくなる要因となり得ます。重要なのは、これらの変化の多くは一時的なものであったり、治療が進むにつれて体が適応したりすることで、気にならなくなるケースが多いということです。しかし、もし変化が著しい、あるいは不安が強い場合は、遠慮なく担当の歯科医師に相談しましょう。